岩井氏:
見積りを作成するにあたっては、各部門に問い合わせたり部門ごとのシステムに入って情報を見るという作業がなくなりましたので、作成スピードが格段に速くなりました。そして、精度も高くなりました。以前は見積りと実績を比較するとマイナスになってしまうような見積りもあったのですが、今ではそれはほとんどなくなりました。プラスへの振れ幅も非常に適正です。予実の差が小さく、「この見積り通りにいける」という安心感があります。
また、製品が完成する2カ月前には原価の予測が立つようになりました。この予測も、精度も±5%と非常に高いです。その結果、四半期ごとの利益が見通せるようになりました。
池本氏:
見積りの精度の高さは、調達部門の仕事のスピードアップという効果につながりました。「この見積り通りにいける」という信頼感があるので、受注が決まったときには、すぐに調達に取り掛かることができるのです。以前でしたら設計が完了するまで調達に取り掛かれず、調達待ちで製造が止まることもありました。製品によっては、調達期間が4カ月かかっていたものが3カ月になるという、リードタイムの25%短縮が可能になりました。
岩井氏:
見積り精度の向上には、新システムを設計部門の用いるCADと連動させたことも大きな要因としてあります。
新規ユニットの見積り時は、類似案件からの見積りを行うため、製品完成後でしか該当ユニットの実績原価がわからず、見積りへの反映も遅れていました。新システムでは、設計時に実際の構成・図面が決まった時点で設計データを新システムに反映させます。これにより、タイムリーに見積りが更新されるとともに、部品完成とともにコストも確定するという仕組みです。
このようなCAD連携により、見積りと手配が完全に一致しコストが正しく反映され、精度の高い見積りや原価予測・実績がタイムリーに行えるのです。
泉田氏:
間接的効果も上がっています。例えばシステムのメンテナンスコストです。部門ごとに異なるシステムが稼働していた頃は、メンテナンスを複数名で行っていました。今はシステムを統一したことで、メンテナンスをほぼ1人で行うことができます。メンテナンスにかかる手間が圧倒的に減りました。
岡村氏:
データの加工がしやすくなりました。仕事をしていると、「業務に有用な情報」が欲しくなるときがあります。そんなとき、以前は複数のシステムから探し出し、データ間の整合性をとるため、データ変換などを行う必要がありました。探した情報は、エクセルに抽出して突き合わせながら読み取っていました。それが今では、整合性を気にする必要はなくなり、Microsoft Accessを使って一発で見ることが可能に。システムに蓄積された情報から、より多くのことを読み解けるようになりました。
泉田氏:
お客さまへのサービス向上にもつながっています。問い合わせや要望があったときに、回答を用意するまでには社内の複数のシステムから調べたり、担当者に聞いて回る必要があったのです。それが現在は、新システムの中で解決してしまいます。以前は回答まで数日かかっていたものが、今では数時間に短縮されました。
岩井氏:
PDCAを回しやすくなったという効果もあります。Biz∫SCAW製番管理システムでは、原価削減をはじめとした改善の取り組みとその結果が非常にわかりやすくひも付けられています。「この取り組みは効果がある!」ということが目に見えてわかりますので、続けるべき活動と、軌道修正すべき活動を切り分けしやすく、今までにも増して、改善に意欲的に取り組めるようになりました。