コラム

受注生産型コラム

【第6回】
組織やルールの改革(設計部品表「E-BOM」と製造部品表「M-BOM」の違い)

前回は階層型BOMの運用ルールについて考えてみました。
今回はそのルールの中でも悩ましい設計部品表(E-BOM)と製造部品表(M-BOM)について考えてみたいと思います。
一般的にE-BOMとM-BOMの違いは、

  1. E-BOMは機能面から考えた構造(構成)であって、M-BOMは製造や調達面から考えた構造(構成)である
  2. 素材や工程手順などの生産技術情報はE-BOMにはないが、M-BOMにはある

特にベンダー側の人が理解できないと言われるE-BOMの機能面から考えた構造とは、BOMの教材として昔からよく使われる自転車で例えると、ハンドル部分にレバーが付いている「変速機」が理解しやすいと思います。
E-BOMには「変速機」という機能部品が一つ設定されますが、M-BOM上ではハンドル部分の変速レバー、変速ワイヤー、タイヤ部分の変速ギアと分かれて設定されます。

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さて、設計で階層型BOMを作成し、それを製造に活かせるBOMにどうやって連携、変換するのか、悩まれているメーカーも多いと思います。
M-BOMをどこで、どのように作成すれば良いのかということです。
結論から言えば、メーカーの製品の特性や体制の違いもあるので、正解はないと考えています。
ただ、一つ言えることは、計画や標準化を重視されるメーカーはできる限り、上流部署、つまり設計部門、さらに言えば営業部門で作成することを目指しているということです。
これまでに見てきたパターンは大きく4つあり、

  1. 生産管理部門でE-BOMを、構成含めてM-BOMに変換する
  2. 設計部門にE-BOMをM-BOMに変換するチームがある
  3. 設計部門の方がPDM等でM-BOMを意識した図面構成を作成し、生産管理部門で素材や工順等を追加し、M-BOMを完成させる
  4. 見積BOMやマトリクスBOMをベースに、主に営業やそれを支援する部門がM-BOMを作成

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4の運用ができれば理想ですが、個別受注メーカーで圧倒的に多いのが1のパターンです。
しかし、できる製品からでいいので、少しずつでも4のパターンへの取り組みを増やすことが、以前にも述べました、個別受注メーカの生命線である「標準化」へ向かうことではないでしょうか。
あと、最近組織改革も含めて弊社のお客様でも増えつつあるのが2のパターンです。
次回はその2のパターン(設計部門にE-BOMをM-BOMに変換するチームがある)、その目的や効果などについて考えていきたいと思います。