コラム

受注生産型コラム

【第7回】
ルールの改革(組織改革①)

前回までは「意識改革」をテーマに取り上げましたが、システムが変わるのであれば、セットで議論しなければならないのが「組織やルールの改革」です。 まず、今回はその組織改革の中でも設計部門と生産管理部門の役割について考えたいと思います。
一般的には設計部門は作図する部署ですが、よくお聞きするのは「見積や問合せなど作図以外の業務にも追われて、改革どころではない」ということです。また、生産管理部門は"工場のコントロールタワー"や"司令塔"と言われていますが、実態は営業と現場との板挟みになり、コントロールどころではないという個別受注メーカも少なくはないと思っています。

さて、前回はM-BOM(製造部品表)をどこの部署で作成しているケースが多いかという話題に触れ、生産管理部門で作成しているケースが一番多いことをお話ししました。
ただ、最近感じているのは、M-BOMを設計部門で完成させてしまうメーカが増えてきているということです。

イメージ

では、どのようにしてM-BOMを完成させているのか、また何故そうしたメーカが増えてきているのかということを考えてみたいと思います。
まず、どのようにしてというのは「設計部門の作図する人とは別に、図面またはE-BOM(設計部品表)からM-BOMに変換する人、またはチーム(仮称:BOMチーム)がある。」ということです。では、何故かというと、「出来る限り上流工程でM-BOMという予定データを作成する」「それを生産管理部門で指示を出し、その工程予実進捗や原価予実進捗も生産管理部門でウォッチする。」予定は設計部門で、そして予実は生産管理部門で管理するという形態です。

そして、さらに進化した姿もあります。それは生産管理部門がない組織です。つまり、「設計部門でM-BOMだけでなく、品目毎の目標原価や予定リードタイムを立て、それを設計部門から製造部門や資材・購買部門に指示し、予実進捗までウォッチする。」という組織です。

イメージ

そこまで進化した会社と私はまだ1社しかお会い出来ていませんが、コミュニケーションロスの削減だけではなく、「過去図面流用」、「標準化推進」、そして「原価企画の実施」と、そこから生まれる効果は大きいと考えています。
よくコストの8割は良くも悪くも設計で決まると言われています。
先述の組織改革が嵌れば、コストは「良くも」に倒れていくのではないでしょうか。

次回はメーカの組織の中でも、弊社とも接点の多い情報システム部門について 事例を交えながら考えてみたいと思います。