コラム

受注生産型コラム

【第1回】
パッケージシステムを導入して効果を出せるメーカーとは

弊社は、基幹システムのパッケージベンダーですので、「弊社のパッケージシステムを導入されたお客様は、皆さん大変効果が出ています」と言いたいところですが、現実はそんなに甘くありません。未だ試行錯誤しているお客様もおられ、それは弊社として、しっかりと向き合っていかなければならない課題でもあると認識しています。

では、同じパッケージシステムを導入しているにもかかわらず、しっかり効果を出せているお客様とそうでないお客様と、どのような違いがあるのか、以下のような同じ悩みを抱えておられるお客様の一助になることが出来れば幸いです。

経営者の思いと現場のギャップ

図1

(図1)

弊社でいうIT構想フェーズ(設計に入る前の企画段階)で、経営者の方にシステムを更改する目的をヒアリングさせていただくと、まず共通して出てくるのがこの3つです。

  1. 売上・利益向上
  2. 顧客サービスの向上
  3. 経営の見える化

これらの3つの目的を達成するために、パッケージシステムを駆使し、どこまで貢献出来るのかと悩む以前に、現場では、それ以前の課題(図1)が山積みになっており、この経営者の思いとギャップがあることがほとんどです。

利益が生み出せない現場の現状

現場の課題を要約すると、「時間がかかる」「見えない、分からない」「精度が悪い」と、非効率で利益が出せない現場になってしまっています。現場の方によくよく話を聞いてみると、実はその要因というのは、大体以下の3つに集約できます。

3つの要因

1.個人ノウハウ依存で、整備されたルールがない

まず、個人依存については、ものづくりという面から見れば、全く否定することは出来ませんし、システムが踏み込んではいけない一線があるのも理解できます。ただ、間接部門でも、個人に依存しすぎているケースが多いのも事実で、長期的に見れば、組織や企業にとって、そのリスクは決して小さくはないと考えるべきです。

2.情報の共有化も蓄積も、さらに活かせる仕組みもない

これについてもよくあるケースで、部門や部分最適の繰り返しを続けた結果、全社的に情報共有が出来ず、ルーチン業務でEXCELが大活躍しているというケース。こうなると、業務効率も悪く、先に触れた「経営の見える化」の情報をアウトプットすることに、何日も要することにもなってしまいます。

3.計画がない、またあっても、信憑性がない

そして、これがかなり厄介です。
日本の個別受注生産メーカというのは本当に誠実で、多少の無理があっても顧客の仕様要件や納期にしっかり応えていく姿勢、これにはいつも敬服させられます。ただ、これが、個別受注生産で有りがちな計画や予定といった考え方が無い、あったとしても変更ばかりで、その変更も反映していないので誰も信用していない無用な情報となっています。言葉は悪いですが、「納期通りにやっつけていく」ことだけで精一杯で、上流工程でモタついているケースが多く、そうなると生産管理の宿命でもある、そのしわ寄せは下流工程になるほど、大きくなり、下流工程は飛び込み作業ばかりをこなしている状況となります。

本来の業務に集中出来ていない!!

このような状況であり、問い合わせ対応、催促、調整、紙でのハンドリングなどに皆が手を取られ、本来やるべき業務に時間が割けていない。さらにそれが本来の仕事だと錯覚している現場があるのも事実です。

IT導入効果

弊社のお客様でもそういった課題をクリアし、どのような景況でもしっかりと利益を出し続けているお客様も多くあります。このようなお客様が共通して言われるのが、「受注が増えても、ほぼ増員なしで、納期が守れるようになった」ということ。

損益分岐点の図

これは、経営指標でよく取り上げられる、損益分岐点を下げることができているということ。
損益分岐点については、様々な文献やネットでも詳しく説明があるため、ここでは触れませんが、固定費というものはすぐには下げられるものではなく、やはり固定費を如何に有効活用し、変動費を下げていけるかを追求した企業が利益を出せています

中には良い意味で、「以前とは違う会社で仕事をしているようだ」と言われることもあります。
正直ここまでおっしゃっていただけることは稀ですが、ITをきっかけにそこまで変われるということ、ただそれはパッケージシステムを導入しただけでは出せない効果であるのも事実で、それ以外にも多くの改善を実施しています。

次回以降はパッケージシステムを導入して利益を出し続けているお客様が、システム以外で改革している点、またシステムに設けた仕掛け等について事例を交えてお伝えしていきます。