1.スマートファクトリーの推進
新しいシリーズとして、今後10年間を見据え、スマートファクトリーを推進する上での観点や方向性について触れていこうと思います。
今まであまり加速されてこなかった国内のDXに対し、コロナ禍での環境変化、グローバルなサプライチェーンの見直しなどで急速に不安定要素が増しており、否が応でもDXを本当に進めなくてはならない事態に直面していると言えるかもしれません。
個別受注生産においても、今後さらに多品種少量生産、個別生産への移行が進み、生産管理システムもマクロな管理からより精緻な管理への移行が求められ、階層型の製番の重要性が高まるでしょう。また、設計・開発から保守サービスまでの製品ライフサイクルにおける一気通貫での管理に加え、原価管理、在庫管理、財務や営業といったシステムとの連携は、多品種少量生産、個別生産のメッシュの細かさ故、もはや人的な管理では及ばない領域となり、整合の取れた業務プロセスに紐づく統合されたシステムの活用が必須になる時代がすでに到来しています。
さらに、IoTセンサーから得られた「生データ」や市場や顧客からクローリングされた「生データ」などのいわゆる「非構造化されたデータ」をAIなどを活用しながら、階層型BOMを基本とする「構造化データ」に反映し、全体最適化を図るデータ管理が新たに求められる時代になってきました。
さらに生産体制においては、1拠点で大量に製品を組み上げ、物流によりグローバルに配送するロジスティックスとは異なる、例えば3Dプリンターなどを活用した地産地消の生産体制も将来増加してくるものと考えます。
2.製番管理についても
製番に関してもE-BOMがM-BOMを兼ねる一本化の動きも3Dプリンターの環境ではありえ、金型も不要、廃棄物も出ない精巧な部品作成が可能なアディティブ・マニュファクチャリングの台頭が予見できます。
さらに、工場現場の自動化、無人化に加え、生産管理においても、自動的にデータ収集がなされ、分析予測がなされ、最終的に自律的な管理が行われる、真の意味のスマートファクトリーが出現するかもしれません。
本シリーズでは、こうしたアフターコロナの10年を見据えたスマートファクトリーと新しい製番管理のありようについて考察していきたいと思います。